■2010.5.2
桃園空港から連絡バスで台北駅へ向かう。バスに関しては、事前に下調べしておいた通りに、一番安いバス会社の切符を買った。運転はなかなか荒いが、これは台湾の交通事情全般にいえるのかもしれない。
台北駅へは1時間10分ほどで到着した。駅構内の位置関係や切符の買い方については事前に下調べはしておいたのだが、ここでの切符購入に少々手間取ってしまった。当日販売分と予約販売分とに窓口が分かれているという話だったが、どうにもそうなっていない。あれこれ悩んだがわからず、適当な窓口で適当な英語で、事前に書いておいた紙(中国語による行先や枚数等)を手渡すと、当日分も予約分も手配してくれた。ただ、列車によっては座席がないものもあった。

@台北駅構内の列車発車時刻一覧
今日は台中までの移動である。15時発や16時発の自強号(特急列車)にしてもよかったが、今回の旅行ではほとんどを區間車や普快車(普通列車)に乗ることになっている。自強号は行程7日目の花蓮からの帰りに、復興号(準急列車)については行程6日目に乗る予定であるため、今日は15時30発のキョ(草冠に呂)光号(急行列車)に乗ることにした。台湾に来て最初に乗るのが、電気機関車が牽引する客車というのもまた良い。

@海外初乗車となったキョ光号
しかし、指定席が確保できたのは途中の新竹までであった。台中までの乗車時間は3時間超だが、その半分を立たなければならない。
定刻通りに、客車らしい滑らかな衝撃で出発。しばらくは地下を走行し、樹林駅の手前で外に出た。停車駅ごとの乗降客数は意外と多く、その度に時間がかかるため、停車ごとに遅れていく。車内は人々の話声で溢れている。新竹駅には約17分遅れで到着した。
私の座席はここまでのため、新しい場所を探さなければならない。6号車の後ろに変電室があり、その反対側に半畳ほどのスペースを発見した。海側には大きな窓もあり、座れないことを除けばなかなかの良い場所である。
竹南を過ぎると海線が右手に分岐していく。車内の人の入れ替わりは相変わらず多く、なかなか空席はできないどころか通路まで人が立っている。混雑する時期というのもあるのかもしれないが、日本でも一昔前の鉄道最盛期はこうだったのだろう。
外の景色はそこはかとなく日本と似ているが、旧い建物が多く、野良犬も多い。大きな夕日が右手に沈んでいった。
遅れを多少取り戻し、約9分遅れで到着した台中駅も混雑していた。駅前の目抜き通りを歩き、適当にから揚げやら魚のあんかけ丼やらを買い、コンビニでビールを追加して予約済の安ホテルへと向かった。

@海外初テイクアウトをした店
■2010.5.3
朝、ホテルに近い台中公園を散歩してから台中駅へ向かう。二水までの切符は窓口で買えたが、集集一日周遊券については「あっち(定期等を売る別の窓口)へ行け」という。しかし行ってみるに、どうにも売ってくれない雰囲気である。筆談で理由を書いてくれるが、どうしても理解できない(中国語の会話では筆談で半分くらいは意味がわかるが、こういうときに限って逆に「ハマって」しまい、運悪くまったく意味が通じない組み合わせになってしまったようだ)。

@朝の台中駅(駅構内に鉄道関連物のミニ展示コーナーあり)
ここで運よく、たまたま後ろにいた男性が英語で介入してくれたが、彼が言うに集集線はunder constructionだという。内湾線や森林鉄道が災害復旧で一部不通なのは知っていたが、集集線については情報未収集だった。
諦めて改札口付近に戻ったが、発車予定列車一覧には予定通りのものが掲示されている。どうにも意味不明だが、とりあえず窓口で二水までの切符を集集までに無理やり変えてもらい、ホームへと向かった。
集集線沿線の観光地でカラーリングされた車両はすでに入線していた。客もちらほらと乗っており、行先も終点の「車チェン(土偏に呈)」になっている。なんだか最後まで走ってくれそうだが、ホーム上にある電光掲示を見ると、正確には理解できないが「路盤強化の工事」のような意味に取れなくもないことが書いてあった。
ホームの反対側から台湾を一周する観光列車「環島之星」が出発した後、定刻から1分遅れの8時36分にこちらのディーゼルカーも出発した。
集集線の分岐駅となる二水を出てから車掌が来たので、集集までの切符を見せて車チェンまでに変更できるかどうかを拙い英語と身振りで伝えたところ、切符は変えられるが行けない、という微妙な感じであった。ここで筆談へと転向し、工事中なのかを訊いたところ、答えは「龍泉下車車專接駁公車」ということ。これは確実に理解することができた(代替バスは日本でも何回か乗ったことがある)。
龍泉で下車し、バス乗り場へと向かう(乗り場自体は駅から数十メートル離れていたが、声の大きいおばさん(乗客)が自主的に先導していたので、向かうことができた)。乗り場の目の前には台湾国軍の施設があり、集集線から分岐した鉄道の引き込み線がある。撮影したいところだが、こんなところでお咎めを受けても怖いので、反対側(引き込み線から見た龍泉方面)だけを撮影した。

@集集線の代替バス
代替バスはすぐに集集駅へと着いた。駅付近は観光地化され、様々な露店などで溢れている。駅周囲にも、レリーフやら土産物店やらがあり、旧いSLも展示されている(その背後にはなぜか戦車があったが)。

@集集駅(ホームもリニューアル中)

@駅前にあったSL
取り急ぎ付近の観光地である武昌宮へ歩いて行く。以前あった大震災で1階部分がつぶれた状態のままで、今となっては逆にそれを売り(?)にしているところだが、すぐ隣りでは復興建築中でもあった。


@武昌宮(隣りで建設中。これぞunder construction?)
すぐに戻るが、今度は鉄道沿いに歩いてみると、狭軌時代のSLが展示されていて、その前後のレールもそのままに残されている。ここに限らず、台湾の人は鉄道に対して好意的な解釈が多い(意図的に観光要素として利用しようとしている)。

@集集線に沿うナローゲージ時代の軌道(左端に見えるのがリニューアル工事中の集集線)
駅前に戻ると、時刻も昼前にになったこともあり、観光客で溢れかえっている。駅自体が観光地の一部となっており、皆が記念撮影をしている。駅舎内には男優の等身大パネルなぞもあるが、たぶんここを舞台としたドラマでもある(あった)のだろう。
駅で二水までの切符を買うと、なんと硬券(厚紙の切符)である。一日周遊券は買えなかったし終着駅までも行けなかったが、逆にそうしていたら硬券は手にすることができなかったわけで、物は良いように考えようであろう。ほどなくして来た代替バスに乗って龍泉へ戻り、二水行のディーゼルカーに乗り換えた。
二水駅では、近くにSLが展示されているという情報を入手していたため、そこへ向かう。歩いて3分程度なので迷わず着いた。大きなものは日本で作られたものであり、小さい方は集集線の狭軌時代などに活躍していたものである。そしてその横の敷地には、なぜか戦闘機が展示されていた。

@SLの展示(小さい方)
駅前に戻り、適当な時間があったため付近の店で羊肉のあんかけ丼を身振り手振りで注文して食べる。値段は50元(約150円)。台湾は交通費と食費は安いと聞いていたが、それが実感できる日々である。

@ワンコインでお腹いっぱい
二水からは台南まで各駅停車の旅。特急で突っ走るより各駅停車の方がよかろうと思っての選択だったのだが、韓国の大宇製のこの車両、窓は小さいしロングシートだし車両の前方は見えないしで、これなら特急の方がよかったなと少しく後悔する。

@大宇製電車
しかも、途中の嘉義で4分の乗り継ぎがあったのだが、5分遅れで到着したこっちの乗客を連絡せず(待ってくれず)に出発してしまっている。改札にいたおばさんの駅員に訊くと、当然のように「次は43分発」ということを指さしてくれる。全体的な雰囲気は日本と似ていて、時刻の正確性も他国に比べれば日本と似て正確だという台湾だが、確かにその通りだが、車内での大声での携帯使用や乗り継ぎ連絡の利便性のなさなど、国民性の違いは若干感じられるところである。
14時35分発の自強号もあるが切符の変更が面倒なので、14時43分発で向かうことにした。やってきた車両ままたしても大宇製。やんぬる哉。
台南には定刻に着き、市内を適当に散歩した(鉄旅なので詳細は略)。駅へと戻り、17時38分の自強号を買ってしまった。
韓国現代製の自強号は快走し続け、高雄に到着した。これまで駅弁を一度も買っていないため、夕食用に1つ購う。駅前に出てみると、初日に台北をあっさり通過したせいであろうか、その車とミニバイクの多さで、殊更に大都会であると感じられてしまった。
夜の食材の入手先は、有名な六合夜市である。台湾人にとっても観光地となっているようで、旗を持った案内人や周りの写真を撮る人などたくさんいる。とりあえず、美味しそうな煙を上げていた鳥の焼き肉と、アヒルの首、魚の練り物のスープを買い、コンビニでビールを大量に。駅で買った弁当が小さかったので、ホテルの近くにあった排骨飯も。結果として、鶏肉が予想外に大きかったのと弁当が小さい割に詰められていたので、とても食べ切れなかった(残りは翌朝に回したため、ホテルの無料朝食券は紙くずとなった)。

@海外初駅弁は高雄駅にて購

@夜市では並んでいる店で買えば間違いなし
■2010.5.4
安宿だが、ネット環境の整っている部屋だったのでゆっくりメール連絡等をし、朝9時に出発。市内を適当に観光した(地下鉄にも乗ったが、詳細まで著す旅行記でもないので略)。
12時16分発の枋寮行に乗るべく、高雄駅へ向かった。駅構内には、駅弁のみならず各種鉄道グッズを取り扱う店などもある(これはここに限らず、台北などにもあった)。台湾では一般的に鉄道への解釈が好意的だとは昨日書いたが、本来は一部限定的な人を対象にするような代物も普通に売られ、会社側も鉄道をより普遍的な趣味へしようとしている意図が感じられる。ここ高雄でそれを最も如実に示しているものはその駅舎で、最近建て直され、そういう場合旧い駅舎は壊されるのであるが、そうされずに曳家(建物を分解せずにそのまま移動させる)で現駅舎の東側に移され、今は観光情報センターとして機能しているのである。

@曳家された旧高雄駅舎

@高雄駅グッズ等売店
件の枋寮行は、以前は復興号として使用されていた冷房客車車両である。7両編成+1両の荷物・電源車であり、最前車両には私ともう1人だけであり、あとは車掌しか乗っていない。発車まで時間があったので、駅構内で買った駅弁を食べてしまった。


@枋寮行の區間車車両)

@駅弁の中身(お肉が美味)
定刻に出発。あれこれ書くべきところだが、徒歩観光による疲労+満腹感+冷房という条件で、1時間ほどうつらうつらとしてしまった。
林邊付近で目を覚ます。辺りは路盤や橋梁を工事中である。名も知らぬ川を渡るが、川面すれすれを走っており、これでは一たび氾濫したら即不通である(現に、周囲は荒れ果てているからそのような事態になった後なのだろう)。じきに、高架化されると思われる。
佳冬の辺りになると、田んぼのような区切りが多数ありその中で小さな水車のようなものが回っているのが多数見られるようになる。おそらく何かの養殖なのだろうが、何なのかまではわからない。

@養殖(ネットで調べたけど、うなぎなのかエビなのか判断つかず)
終点の枋寮には定刻の14時14分に到着した。ホームの反対側に次に乗るべく台東行があったので一先ず乗ってみたが、非冷房の車両ということもあり、また停車中で窓も閉まっているため大変な暑さである。走り出せば風が入るのだろうが、先が少し思いやられる。

@台東行の普快車車両

@手書きのサボ
時間が少しあったので駅前を適当にぶらついたが、あまりの暑さですぐに戻った。
14時28分発の台東行の普快車であるが、もう台湾ですら2往復しか残っていない非冷房の各駅停車である。今回の旅行はこれに乗っておくのが目的であったと言っても過言ではないだろう。編成は3両であり、どれもほぼ同じようなボロさだが、前から2両は手動扉で最後だけは自動となっている。

@手動扉車両の車内

@自動扉車両の車内
定刻に出発したが、乗客は私以外に、いかにも鉄な感じの人(あちこちビデオを撮っている。東洋人だが台湾なのか日本なのかは不明)と、上半身裸のおっさん、合計3人しかいない。車両といい乗客数といい、国鉄時代のローカル線の様子を呈してきた。
枋山付近では、あちこちで川を越えるための工事をしていた(川そのものの工事も多い)。確かに台湾といえば台風と水害のニュースを良く聞くが、それにしても河原のあちこちは巨大な流木だらけである。そもそも土手の有無も怪しいような治水状態だから工事は必要なのだろうが、それよりは上流でダムを作ったりする方が先決のような気もする。
枋野を過ぎると、南廻線では屈指の山越え区間となる。非冷房なので窓を開けっ放しであるが、その状態でトンネルに入る際のこの大音量は、久々の感覚である。山岳区間を超えると、右手に海が広がってくる。良い天気にも恵まれたため、なかなかの光景である。

@海!
途中駅(駅名失念)にて貨物列車を追い越した。台湾に来てから感じていることだが、貨物列車の数が結構多い気がする。そして最後尾には、日本の貨物列車からは消えてしまった車掌車が連結されていて車掌が暇そうに勤務している。貨物列車の車掌なぞ、はっきり言ってやることなんかそうないだろう。こういったところにも、昔の日本の国鉄の香りを感じる(国鉄時代は1日に数本しか列車が来ない駅に駅員が常駐し、貨物列車にすら車掌が乗っていたが、民営化され経営効率が求められると、駅は無人化され、旅客列車ですらワンマン化されてきている)。今はまだ優等列車すら立ち客で混雑しているほど好景気の台鉄だからいいが、斜陽化してきたら日本の国鉄のようになっていくのだろうか。

@車掌車と暇そうな車掌
金崙では、上りの非冷房各駅停車と行き違った。あちらにはぱっと見で15人くらいいて、それなりの賑わいである。外国人(と書こうとして間違いに気づく。今は自分も外国人なのだ)、もとい西洋人のペアもいて、鉄が目的かどうかはわからないが、いずれにしてもこの手の列車を検索できるとはタダ者ではないだろう。

@ライバル(?)と行き違い(あっちは乗客多数)
この駅で、やっとこちらにも乗客がちらほら乗ってきた(何人かは次の太麻里で降りてしまったが)。その次の駅、温泉で有名な知本では観光客がたくさんホーム上で待っていた。しかし、そのほとんど(すべて?)は反対側の高雄方面行の自強号に乗ってしまったが。
日も落ちて涼しくなりつつある中、おんぼろの客車車両は定刻の16時40分に台東駅に到着した。ここは新駅であり、ホテル等のある繁華街は数キロほど離れている。事前に調べた限りではバスの出発まで1時間あるため、駅構内の椅子に座ってパソコンをつついて時間を潰した。

@有名な池上駅弁は台東でも買える
並みいるタクシーの客引きを断り(といってもほとんどのタクシーは駅前にきちんと並んでいたが)、路線バスで旧駅のあった市街地へ移動した。けっこうな距離があるから路線を残してくれてもよさそうだが、バスの乗客がまばらであることを考えると需要はそうなかったのかもしれない。
旧駅は観光地として整備されていて、旧い車両などが展示されている。ホーム上では高校生がいちゃついたり、野良犬が数匹寝転んだりしている。仰々しいカメラであちこち撮影している同業者風も何人か見受けられた。


@旧台東駅(オタクとカップルと犬しかいない)
近場の個人商店で、香草腸詰の麺類と豚脂身を使った飯を購い、いつも通りにコンビニでビールを大量に購入してホテルにチェックインした。安ホテルだが、ケンタッキーの朝食を無料で付けてくれるという。しかしその店の営業時間を訊くと7時からということで、「明日は5時半くらいに出なきゃいけないんだ」というと、かなり若い男のフロントは笑顔で驚いていた(以上、お互いに拙い英語での会話であった)。



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