駅のない終着駅へ Part4

鉄旅(国内) ※観光列車も
輪島駅

■はじめに
 鉄道が廃止されたことにより「ご無沙汰」となった終着駅に訪問するこのシリーズであるが、4回目の今回は、のと鉄道の輪島駅を訪問したい。また、のと鉄道の廃線区間には能登線(穴水-蛸島)もあるため、その廃線跡(珠洲駅跡)についても訪問しておきたい。
 今回使用する切符は、大人の休日倶楽部の「北陸フリーきっぷ」である。北陸地方までの往復新幹線と、現地での4日間の乗り放題(第三セクターや新幹線にも乗れる)が付いて、たったの24,000円である。今年は春先まで詳細が発表されなかったため「まさか廃止に?」という心配があったが、無事に発売されたので利用できることとなった。
 なお、昨年度までであれば、週末だけ使って戻ってくるパターンが多かったが(せいぜい有休を1日足す程度)、今は無職であるため、みっちり4日間使って来ようと思う。

【旅程】
1日目:新幹線と特急で七尾まで移動し、「奥能登まるごとフリーきっぷ」(のと鉄道と奥能登バスが2日間乗り放題で3,000円)を買い、輪島まで移動。金沢に戻って宿泊。
2日目:穴水まで再度移動し、バスで珠洲まで移動。金沢に戻る。
3日目:新幹線で福井へ移動して、越美北線で九頭竜湖へ。福井に戻って宿泊。
4日目:新幹線で敦賀へ移動して、小浜線で小浜へ。敦賀に戻り、新幹線で東京へ。

@輪島駅(道の駅)にて

■2025.5.7
 東京発6時16分の新幹線「かがやき」号に乗り、一路金沢へ。連休明けということもあり、車内の乗車率は40%以下くらいであった。
 8時43分に到着し、在来線乗り場へ向かった。乗り継ぐのは、特急「かがり火」号である。以前は山ほどあった在来線特急であるが、新幹線開通後はサンダーバード等が金沢には来なくなってしまったため、この地域では貴重な在来線特急となっている。

@側面にはサンダーバードの名残あり

 8時58分、金沢を出発した。しばらくは第三セクター鉄道の路盤であるが、津幡からはJR七尾線となる。ガタンゴトンと言いながら快走する特急は少なくなってきたので(在来線でもロングレールが多いため)、懐かしい感じである。
 9時50分に到着した七尾で下車して、のと鉄道の乗り場へ向かった。前回訪問時とイメージが大きく変わっているが、ポケモンとのコラボをしているようであった。

@のと鉄道七尾駅

 まずは、フリー切符の購入である。運転手にお願いして、3,000円の切符を購入した。輪島までの移動であると微妙であるが、2日間使い、さらに珠洲方面まで利用すると、かなりお得になる切符である。

@今日明日と利用する

 9時59分、七尾を出発した。1両編成の車内の乗客は、6人程度である。
 このまま穴水まで乗り通しても、穴水での待ち時間が2時間半にもなってしまう。そこで、能登鹿島で下車してみることにした。
 しかし、ここを訪問するのは初めてではない。ここは宮本輝の小説『駅』の舞台になったところであり、2007年の春にその取材で来たのである。

@能登鹿島駅

 ホームは長く、5両くらい停車できそうであるが、ここを行き来する列車は最大でも2両程度である。
 しばし駅付近を散策し、待合室で時間を潰してから、11時26分発の列車に乗って穴水に向かった。穴水着は11時33分。
 さて、それでもバスの出発まで50分もある。隣接する道の駅に行ってみると、今日は地魚中心の握り寿司があったので、早速購入した。

@豪華に(と言っても税込み1,000円)

 こういう場所で頂く寿司に、マグロやイクラは不要である。ラベルを見ると、白身魚はスズキやサヨリやホウボウなどであり、淡泊な味を楽しんだ。
 これから乗るバスは金沢から輪島まで行く特急バスであり、フリー切符では穴水から先の区間に乗ることができる。寿司を食べ、町内を散策してからバスを待った。

@やって来ました

 12時23分、穴水駅前を出発した。なおこのバスは廃線区間(穴水-輪島)にずっと沿って走るわけではなく、いったん能登空港に向かう。そこで、珠洲方面への特急バスに乗り継げるようになっている(それは明日利用する予定)。
 能登空港を経由して、輪島方面へと走り始めた。途中にある能登三井駅跡は、現在はカフェとして利用されている。

@駅カフェ

 定刻より6分早い13時07分、輪島駅前に到着した。現在は道の駅などの複合施設になっているが、2001年4月までは鉄道駅であった場所である。

@今はこれだけ

 過去の写真データを遡ってみると、私が鉄道で輪島に来たのは2000年12月であった。あまり細かいことは覚えていないが、翌年の廃止を知って訪問したのであろう。

@輪島行の列車

 しかし、輪島近辺の写真は上記を含めてもたった2枚しか撮影していない。当時は初めてデジカメを持った時期であり、アナログ写真の癖(現像にお金が掛かるため、シャッターは「ここぞ」という時しか押せない)がまだ残っていたのである。

@あと1枚はこれ

 折り返しの路線バスまで1時間ほどあるため、町中を散策してみた。朝市があった場所は公費解体が終わっていたが、昔を知るものとしては寂しい限りである。

@寂しい

@賑やかであった頃(2018年10月訪問時)

 街中を適当に散策してから、道の駅に戻ってきた。
 復路は特急バスではなくて、穴水行の路線バスである。14時15分に出発し、穴水駅前には14時54分に到着した。
 ここからは、15時10分発の七尾行に乗ることとなる。本当は能登半島のどこかで宿泊したかったが、どこも取れなかったので、今日からは金沢連泊である。ホテル自体は営業しているので、おそらく復興関係の作業者などで埋まっているのであろう。どうせJRとのと鉄道とバスのフリー切符があるので、金沢まで戻っても余計な出費は発生しない。

@七尾行

 七尾でJRの各駅停車に乗り継ぎ、金沢には17時24分に到着した。駅近くの安ホテル(2泊で8,000円-クーポン3,000円-ポイント利用2,000円で、たったの3,000円である)に投宿した。

■2025.5.8
 金沢発6時52分発の列車に乗り、七尾着は8時26分。のと鉄道乗り場に行ってみたが、まさかの2両編成である。もちろん車内はガラガラであるが、おそらく、七尾に通学する学生を大量に運んで来たからであろう(車両基地は穴水にしかないため、2両のままで穴水に移動するのである)。
 8時34分七尾を出発した。2日連続で同じ路線に乗車である。

@能登中島駅もポケモン仕様に

 穴水到着は9時16分。乗り継ぐべきバスは9時18分発なので駅前のバス停に直行したが、なかなかやって来ない。金沢市内で渋滞していたのであろうか、輪島行のバスは10分ほど遅れてやって来た。

@今日もまた輪島行に乗る

 先述した通り、珠洲方面に行くためには能登空港での乗り換えが必要となる。バスは9時30分頃に出発し、能登空港には9時50分に到着した。
 ここからは、10時10分発の「すずなり館」行に乗る。しかし、同じ出発時刻で「内浦総合支所前」行があるためややこしい。先に内浦総合支所前行が来たが、行先表示に「乗継便」などと書いており、「まさかこれに乗って途中で乗り換え?」とさらに混乱したが、「すぐ後に珠洲行が来る」ということなので、待つことにした。

@やって来ました

 能登空港を定刻に出発し、しばらくは内浦総合支所前行の後ろを付いて走り続け、しばらくしてそれが左手に逸れていくと単行で走り続けた。すずなり館到着は11時00分。最初から4人しかいなかった乗客であるが、最後まで乗っていたのは私だけであった。空港から珠洲まで片道でも1,300円するから、フリー切符が必須である。
 バス停は道の駅の目の前であるが、すぐ背後には珠洲駅跡が残っている。

@現在の珠洲駅ホーム(左にある数字によれば、完成したのは1964年の4月)

 私が珠洲線(穴水-蛸島)に乗ったのは、2004年の9月であり、廃止まであと半年といった時点であった。詳細なことまで覚えていないが、珠洲駅で停車時間があったようであり、ホーム上で1枚の写真を撮っていたようである。

@20年以上前の珠洲駅ホーム

 珠洲線の終着駅は蛸島であり、3キロほど先である。しかし、その辺りまで行く無料バスは1日に3本しかなく時間が合わないし、歩いて行くとなると、戻りが遅くなってしまうため、今日はそこまでは行かない。なにせ、戻りのバスであるが、12時45分発の次は16時30分なのである。

@蛸島駅(2004年撮影)

 乗る予定のバスまで時間があるため、しばし町内散策である。スーパーの鮮魚売り場には、クロカラやアブラメ、黒八目や赤八目、カナガシラやネジラなど多種多様な地魚があり、ここに1週間くらい滞在してすべて制覇したい気持ちになってしまった。
 なお町中の所々に土手のようなものがあるが、これは珠洲線の路盤跡である。コンクリートの部分には「1963-7」と文字があったので、開通前年に完成したようである。

@廃線跡

 散策を終えて後は戻るだけだが、どうしても地魚が気になる。刺身になっていた魚もあったので、持って帰ることにした。「しお」と「赤八目」を買い、氷を多めに貰ってビニール袋を重ねて、そして脱いでいた上着で包めば、保冷は完璧である。
 12時45分発の能登空港行は、私と地元のおばあさん1人だけを乗せて出発した。
 元来た道を戻り、能登空港で金沢行に乗り換えた。穴水市内に入るとまた土手が見えてくるが、もちろん廃線跡である。

@これも廃線跡

 穴水駅前到着は14時10分の予定であったが、信号に引っ掛かったこともあり、14時13分を過ぎていた。七尾行の列車の出発時刻は14時14分であり、すでにアナウンスも終わっている。なんとか、ギリギリ間に合うことができた。
 後はひたすら戻るだけである。今日は昨日以上の快晴であり、富山方面の立山連峰も綺麗に見えていた。

@快晴

 14時58分、和倉温泉で下車した。ここから特急に乗り換えるためである。
 特急の出発まで30分くらいあるため駅前のスーパーに行ってみると、焼き魚が安く売っていたため、これも買ってしまった。
 15時32分に出発する「かがり火」号に乗り、金沢へ。到着後は、安ホテルに戻った。
 夜になり、ご飯ものを買うために駅のスーパーに行くと、なんと地物の甘えびが半額である。結局それも買ってしまい、今晩は超魚尽くしになってしまった。

@都心ではできない面子

■2025.5.9
 今日からの2日間は旅行記のテーマとは関係ないが、簡単に紹介しておきたい。
 駅に向かい、8時02分発の新幹線「つるぎ」号で福井へと向かった。8時38分に到着したが、越美北線の出発は9時21分でありしばし時間があるため、駅付近を散策である。

@恐竜その1(福井駅前)

 越美北線には過去何度も乗っているが、それにしても乗り辛くなった(観光し辛くなった)路線である。2021年までは福井発6時台の列車があったのだが、それが廃止されてしまい、今はこの9時台がなんと始発なのである。福井に宿泊して効率良く回ろうとしても、9時台まで足止めなのである。そしてその次の列車はなんと12時台。事前によく旅程を練っておかないと、観光もままならない。

@恐竜その2(越美北線)

 定刻の9時21分に出発。乗客は9人くらいであるが、研修か何かであるのか、JR職員が前方に6人くらい乗っている。
 越前大野で多くの乗客が降り、終着の九頭竜湖まで乗っていたのは私を含めても3人だけであった。10時54分着。

@恐竜その3(九頭竜湖駅。ここのは15分毎に動いて鳴く)

 九頭竜湖にも何度か来たことがあるが、折り返しの出発まで数分しかないため、いつも慌ただしい。たいていは、隣接する道の駅で「まいたけ弁当」を急いで買うのが関の山である。よって今日は、折り返しには乗らず、しばし観光をして14時32分の列車で戻ることにしている。
 さて、昼時であるから、まずはいつものまいたけ弁当である。道の駅の売店で、夜用の天ぷらと一緒に購入した。

@まずは腹ごしらえ

 続いては、観光である。と言っても、3時間半も使えるような観光要素は、この街にはない。しかも、唯一の観光要素である恐竜の資料館も、今日は臨時休館であった。
 駅の裏手にSLがあったのは覚えていたので、それを見に行った。以前は笛資料館というものがあった場所のようであるが、すでに更地になっており、SLだけが取り残された感じで残っている。

@8620型

 その後は街はずれまで散策して駅まで戻ったが、まだ12時前である。ほかに行く場所もないため、駅付近でPCやスマホと友達である。今日は天気予報によると下り坂になっていくようで、だんだんと強風になってきた。
 大昔はここから美濃白鳥駅(長良川鉄道)までバスが繋がっていたが、今はもう廃止となっているため、折り返すしか方法はない(なお私は、2000年の夏にそのバスに乗っている)。
 14時21分、折り返し32分発となる列車が入線してきたが、なんと車内の乗客はゼロである。定刻になって出発したが、車内はもちろん私だけである。

@咳をしてもひとり

 JRでは久留里線の末端部分(久留里-上総亀山)の廃止が決定されたが、越美北線もこんな状態では、越前大野から九頭竜湖までが廃止になってしまうのではないかと心配になるくらいである。運転席の横を見ると、未だにタブレットが現役で活躍していた。
 今日は、本来は越前大野で途中下車して2時間ほど散策する予定であったが、雨粒が落ちてきたので、それは省略して福井に行ってしまうことにした。16時05分に福井に到着。

■2025.5.10
 今日は小浜までのプチ旅行である。理由は、件の「北陸フリーきっぷ」の利用範囲の西端が小浜だからである。
 福井6時36分発の新幹線「つるぎ」号に乗り、敦賀へ。敦賀からは7時12分発の小浜線である。

@2両編成

 定刻に出発し、東舞鶴行はトコトコと走り続けた。途中の上中で行き違いのため長時間停車したのでホームを歩いて見ると、観光案内に「銀杏観音」というものがあった。若狭有田駅から歩いて行けそうなので、この次にこの辺に来ることがあれば、訪問先の有力候補である。
 8時32分、小浜に到着した。まずは街中散策である。小京都っぽい街並みを、久々に歩いた。

@小浜の街

 この街を本格的に観光するのであれば、沿岸部にある食文化館などとなるが、それらについては以前に観光済であるため、今日は街歩きだけで済ませることにしている。

@よってこんな小ネタで済ませる(オバマ大統領。小浜だけに…)

 9時34分発の列車に乗り、敦賀に戻った。10時37分着。
 すぐに接続する新幹線はあるが、それには乗らず、11時58分発の指定席を取ってある。定職があった際には出張で飽きるほど来た敦賀であるが、今日は久々にプチ観光である。
 まずは気比神宮へ行き、その後は地元のスーパーに向かった。というのも、知る人ぞ知る敦賀のB級グルメ「フジバーグ」を買うためである。

@マイナーグルメその1

 観光と買い物を済ませてから駅に戻り、11時58分発の東京行き「はくたか」号に乗り込んだ。帰路の車内のお供は、これまた知る人ぞ知る福井の地場炭酸飲料「ローヤルさわやか」と、福井のおかきである。

@マイナーグルメその2

【過去のシリーズ】
駅のない終着駅へ Part1(三段峡駅)
駅のない終着駅へ Part2(加津佐駅)

駅のない終着駅へ Part3(おまけで「惜別・留萌本線」)(留萌駅・増毛駅)

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