■はじめに
大分県の別府市に10日間ほど滞在するプチ移住であるが、今回は7日目から10日目(最終日)までを紹介したい。7日目は豊後高田や中津への観光、8日目は別府市内のプチ観光、9日目は豊後森や日田への観光、そして最終日は帰路となる。
■2025.6.9
大分県内の鉄道は、大分駅を中心として4方向に分岐している。今日は、北方面に行くことにしている。
英語学習などの朝のルーティーンを済ませてから、雨の中を歩いて駅に向かった。駅には今春から始まったサービスが各種紹介されているが、その中の一つが「ロングシート化」である。旅行客としては勘弁してほしいが、先日の朝の猛ラッシュを考慮すると、地元民にとっては有難いのであろう。

@残念
当初は10時頃に出発する予定であったのだが、宿にいても暇なので、ネットで調べてまずは中山香駅付近にある「沈み橋」などを観光することにしている(今朝決めた)。
9時26分に別府を出発し(当然のようにロングシート車両)、中山香には9時59分に出発した。駅から15分ほど歩くと、日本最古の石造沈下橋(沈み橋)である龍頭橋に到着した。今日は雨だから「もしかしたら沈んでいるかも」と不安であったが、大丈夫であった。

@龍頭橋
車も渡ることができる橋であるが、後方にある通常の橋と比べて明らかに低いことが分かる。
なお橋のすぐ近くにはかなり古い造り酒屋があり(雰囲気からしてもう営業していない)、そこに鏝絵(こて絵)がある。橋にも鏝絵にも丁寧な説明版があるが、ここに来る観光客は果たして年間に何人いるのだろうか、というくらい恐らくマイナーであると思う。

@酒屋の鏝絵
雨の中歩いて駅に戻り、しばし待合室で過ごした。次に乗るのは11時14分発の中津行であるが、この駅には10時57分に到着する。というのも、ここで往復の特急2つを待ち合うためである。
改札前のホームで待っていると、長編成の各駅停車がやってきて向かいのホームに停まった(特急に進路を譲るため)。ということで、跨線橋を渡ってそちらに向かった。

@珍しく長編成の各駅停車
減りつつあるクロスシート車両である編成に乗り、定刻に中山香を出発した。11時28分に到着した宇佐で下車。
ここからは、路線バスで豊後高田に行くことにしている。昨日にささっと調べた段階では12時00分発のバスがあると思っていたのだが、バス停に行ってみると11時33分発があった(違う系統)。ということで、それに飛び乗った。

@予定より早く
昨日はバス会社のPDF時刻表で調べただけであったので、やはり時刻検索サイトで調べるべきであったと反省である。
12分ほどバスに乗り、終着の豊後高田バスターミナルで下車した。なぜここに来たのかというと、ここは大分交通宇佐参宮線の駅であったからである。バス停部分はまさにホームであったところであり、いかにも列車が入線してきそうな構造である。

@駅跡
廃線跡巡りが目的でここに来たが、もし初めてこの付近を訪れて鉄道跡関係を探すのであれば、宇佐神宮に行った方がいいであろう。あちらには、立派な26号蒸気機関車が奇麗な状態で静態保存されているからである。

@26号蒸気機関車(2007年2月撮影)
折り返しのバスが出発するまで1時間以上あるが、豊後高田にはレトロな街並みがあるため、暇にはならない。

@展示館関係や

@商店街や

@ジオラマ展示など(鉄道は動いている)
それでもまだ時間があったので、地元のスーパーを覗いたりしてから駅に戻った。
駅の一部には、古い写真などが少し置いてあるスペースがある。使わない椅子などが置いてある倉庫のようであるが、せっかくであるから展示スペースにして欲しいところである(恐らく以前はそのような使われ方をしていたようであるが、今は荒れ放題である)。

@残念
13時04分発のバスに乗り、宇佐駅へ戻った。宇佐からは、13時28分発の列車に乗る予定である。
宇佐駅の駅名標には宇佐神宮のイラストがあるが、その色使いは米国国旗に似ている。というのも、駅名のローマ字読みがUSAになるからである。だいぶ昔(20年以上前)、行先標がアナログであった頃、小倉駅で待っていると、各駅停車の行先標の下段に「FOR USA」と書いているのを見て、そのシュールさが面白くて写真を撮った記憶がある。

@USAですから
件の列車に乗り、中津に向かった。13時53分到着。
強くなってきた雨の中を30分ほど歩いて、到着したのは「汽車ポッポ食堂」である。ここには耶馬渓鉄道の旧客車を再利用した宿泊施設があり、私も以前に宿泊したことがある。

@店舗前面
さて、雨の中をここまで歩いてきたのは、これを見るためではない。中津と言えば唐揚げで有名であるため、この近くにある有名店で夜用食材を買うためである。
5分ほど歩いてそこに向かい、骨なしモモと手羽先を購入した。夜用ではあるが、出来立ても味わってみたいため、モモの1個は店を出た後に熱々のものを頂いてしまった。

@唐揚げ店
さらに強くなってきた雨の中を歩いて、下半身ずぶ濡れになって中津駅に戻ってきた。15時15分発の宇佐行に乗り、宇佐到着は15時39分であった。
さて、各駅停車の旅を続けるのであれば、ここで2時間近くも待たなければならない。しかし、JR九州の株主優待券の優れたところは、別途特急券を買えば特急にも乗れるという点なのである。

@それを活用
特急券を買い、15時59分発のソニック号を待った。特急ソニックと言えば、私個人としては「JR九州に出来た新しい特急」というイメージであったが、先日大分駅に行った際に、「ソニック30周年」という大きな宣伝を発見して驚いてしまった。新しいどころか、周期が早い車両によっては「そろそろ入れ替え」も話題になりそうな古さである。

@青のソニックがやって来ました
自由席に陣取り、一路別府へ。リクライニングシートであり、停まる駅も少なく快走するので「やっぱり特急が良いな」と思うが、プチ移住においては鉄道はオマケであるため、活用するのはほどほどにしようと思う。
たったの29分間で別府まで快走し、到着した。駅に近いスーパーでとり天を買い、今晩は「鶏尽くし」である。

@今日の晩餐(カマは先日買ったもの)
■2025.6.10
今日は別府市内で観光予定であるが、梅雨前線の影響で九州内では線状降水帯が発生している場所もある。別府市内も午前中は雨脚が強い予定であるため、昼まではテレビやYouTubeを見たり、この旅行記を書いたりして、まさに引き籠りである。このようにして「無駄な時間」を使えるのも、長期滞在の利点である。
観光先であるが、今更「地獄めぐり」を紹介しても新鮮味がないため、超久々に高崎山に行こうと思う。恐らく、25~30年ぶりくらいであろうか。
昼過ぎに雨脚が少し弱くなったため、宿を出発した。宿から高崎山までは歩いて1時間程度であり、これまでのパターンであれば「健康のため歩き」であるが、それなりに雨が降っているため、バスに乗ることにした。

@これに乗る
定刻から5分ほど遅れた12時49分に別府駅前を出発した。別府北浜以南は本来であれば奇麗な海が見えるはずであるが、雨のせいでバスの窓が曇っており、外は全く見えなかった。
10分程度で高崎山に到着。まずは、海側にある展示施設の見学である。それから国道を跨ぐ大きな橋を渡って、高崎山に向かった。

@入口
520円の入園料を支払い、坂道を登って行った。高崎山には別料金(たったの110円)で「さるっこレール」という乗り物があるが、意外に急坂であったので、それに乗ればよかったと少し後悔である。
坂道の途中から、至る所に猿がいる。雨はまだ降っているが、お構いなしである。
頂上に到達し、しばし猿撮影タイムである。

@見ざる聞かざる言わざる的な雰囲気
まばらにいた猿であるが、13時30分から餌タイムということで、係員がバケツを持ってくるとわらわらと集まってきた。餌が撒かれると、もう大騒ぎである。餌と言っても小さな穀物のようなものなので、猿たちは小さな粒を拾って口に運んでいた。

@大騒ぎ
一通りの見学を終えてから、下山した。
この時点でかなり小降りになったため、市内には歩いて戻ることにした。どうせ、時間は余り過ぎているほどある。
海沿いに歩き続けるが、天気が良ければかなり良い景色であろう。今日は全体的に靄っているが、別府港には新しいフェリー「さんふらわあ」が停泊しているのが見える。
東別府駅に近づいたので、寄ってみることにした。

@東別府駅
落ち着いた雰囲気の駅舎であるが、調べてみると映画の撮影にも使われたことがあるということであった。
その足で歩き続け、宿に戻る前にスーパーに寄ってみると、生サバの刺身を発見したので早速確保である。締めサバは関東でも買えるが、生サバはまず手に入れられない。九州に来たら購入必須の代物である。

@今日はこれで晩酌
宿に戻り、しばし休憩してから再度出掛けた。目的は、自分用のお土産購入である。お土産と言っても名産物ではなくて、生活に必要な品々である。
初日にも行ったグローバルタワー付近にある店舗であるが、ここには大型店舗がいくつかあり、その中に格安食品を売っている店がある。うちの近所にも賞味期限が近い品や人気の薄い品を安く売っている店があるが、こちらの店舗は、賞味期限切れも超格安で売っているのである。
ということでその店へ行き、「いぶりがっこのタルタルソース」などを購入した。いぶりがっこのタルタルソースは阿仁合駅にある食堂でエビフライと食べたことがあり、別の秋田旅行時に売店で瓶詰めを見付けて惹かれていたのであるが、値段がそれなりに高くて買っていなかったのである。

@戦利品
今回は、賞味期限が少し切れたものが757円から379円になり、1か月過ぎているものがさらに安くなって152円になっていた。缶詰めや瓶詰めの1か月なんて誤差と思っているため、後者を2つ購入である。ついでに、九州らしい「だんご汁」を75%引きの36円で購入した。
■2025.6.11
今日は株主優待券を使った旅の最後の1枚であるが、心配事は天気だけである。線状降水帯の影響で鹿児島県や宮崎県に運休が発生しているようであるが、大分県は大丈夫そうであった。
ということで、出発である。別府から日田までは片道でも2,420円するから、かなりお得に移動できる。

@油屋熊八像のコスプレは撤去されていた
プチ移住中は比較的朝はゆっくりしていたが、日田方面まで行く列車の本数が少ないため、今日は5時台から移動開始である。5時53分発の大分行に乗り、6時07分に到着した大分で乗り換えた。
待ち構えていたのは、黄色い2両編成であり、一安心であった(この車両はボックスシートであるが、赤い車両はロングシートの可能性があるのである)。

@ほっと一安心
まばらな客を乗せて、6時13分に大分を出発した。由布院でだいぶ降りたが、その後は徐々に通学の高校生で増えて混雑していった。終着の日田までは行かず、8時06分に到着した豊後森で、大量の高校生と一緒に下車した。
まず向かうべきは扇形の機関庫であるが、雨脚が強かったため、雨雲レーダーと相談しながら待合室で30分ほど休憩してから歩いて向かった。

@豊後森機関庫
豊後森は以前は交通の要所であり、説明書きによると、25両の機関車が所属していて200人も勤務していたという。
ここではどうやっても2時間弱の時間が出来てしまうため、まだ時間が有り余っている。町中を散策してみたが、意外にも大きな町であった(あれだけたくさんの高校生が下車したのであるから、当然と言えば当然であるが)。各所に鉄道関係の巨大な写真が掲示されており、ここが鉄道の町であったことが示されている。

@一例
駅に戻り、9時59分発の久留米行に乗り込んだ。まさかの1両編成(ロングシートとクロスシートの混在)であったが、なんとかクロスシートの部分を確保できた。
しばし乗車し、10時30分に到着した日田で下車した。日田には何度か来たことがあり、宿泊して滞在したこともある。日田到着時点で雨も上がったため、散策しやすくなった。

@駅付近は進撃の巨人だらけ
上述した通り日田には何度も来ているが、とりあえず豆田町は訪問必須であろう。古い町並みを歩き、酒蔵の展示館などに入ったりした。平日ではあるが、インバウンドの観光客で大賑わいであり、あちらこちらから中国語や韓国語が聞こえてくる。中には、流暢な韓国語で対応する店員もいた。

@私も観光
豆田町観光は初めてではなかったが、今回は初めて博物館方面に行ってみることにした。無料の博物館であったが、展示は意外に豊富であり、生き物(魚や爬虫類など)の展示もあった。

@初訪問
12時頃に、日田駅に戻ってきた。
この先であるが、昨日旅程を作成した際には、湯布院で途中下車しようと思っていた。しかし、湯布院などは過去に何度も訪問済みである。そこで、何かマイナーなものがないかスマホで探してみたところ、大分の1つ手前の古国府(ふるごう)駅付近に石仏があるという。ということで、そちらに予定変更である。
12時29分発の大分行であるが、引込線には2編成あり(いずれも赤色の車両)、片方がクロスシートでもう片方がロングシートである。3番線に入線してきたのは、残念ながらロングシートの方であった。

@これで大分まで…
定刻に日田を出発。ロングシートであるが、トイレの横の部分を確保し、トイレ側に背を付けて片足をシートに乗せて景色が見えるようにして乗り続けた。
昼時ということもあり、由布院からも乗客はそれほど増えなかった。14時45分、古国府で下車。
駅から10分ほど歩いて、岩屋寺石仏に辿り着いた。だいぶ風化している部分が多いが、これだけ市街地の中心部なのに石仏があるとは、いかにも大分県らしい。

@石仏
石仏を見た後は、30分ほど歩いて大分駅に向かい(列車の本数が少ないため)、そして別府へ帰って行った。
■2025.6.12
さて、長いようで短い10日間も、今日で最後である。11時台のバスで空港に向かうため、最後の市内散策をしておきたい。
駅の南側の高架下に商店街があることは紹介してあったが、北側にもあることを先日の散策中に発見した。食品店が多い南側と違って、北側は雑貨店などが中心のようである。

@高架下商店街
その後は駅東側にあるアーケード街や細い路地を歩き、最後は駅南側の高架下商店街にやって来た。というのも、6月4日の記述で「美味しそうな稲荷寿司もあったので、そのうち利用しようと思う」と書いた通り、稲荷寿司を買おうと思ったのである。
しかし店舗に行ってみると、なんと10日から12日まで休業であった。いつもなら夜用に買ったりするのであるが、今回は自炊設備(炊飯器)がある宿であったためご飯ものを買わなかったこともあり、最終日まで後回しにしたのが原因である。

@無念
その後は宿に戻り、荷造りをして、空港連絡バスに乗るべく駅に向かった。
まだ時間があったので、何かお土産でもないかと思ってスーパーに入ってみると、今日は握り寿司が特売ということで、大分産のネタもいくつかあった。その中にカンパチもあり、「そういえば、大分に来てからカンパチの刺身を食べていないな」ということに気づいて、大分最後の地物はカンパチにすることにした。

@甘くて美味
11時22分発のバスに乗り、一路空港へ。その後は、13時20分発の便で羽田に飛ぶだけである。
10日にわたる滞在であったが、最終日に「もう終わりか」と思った反面、やはり長い期間でもあった。在職時には海外出張で1週間家を空けることもあったが、国内で、しかも10日間となると、かなり久々の帰宅であった。帰宅後最初の夕食は、カキフライを揚げて、いぶりがっこのタルタルソースで頂くのみである。
次回のプチ移住は、7月1日~10日、徳島県徳島市の予定である。

@今回の滞在で最もお世話になったスーパー「マルショク」
【以下もご覧ください】
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