バートン・マルキール氏「インデックス投資は再度勝つ」

FIRE生活 ※投資話も
インデックスの勝利

■資産形成の有名な指南書

 バートン・マルキールと言えば、投資関係では有名な書籍『ウォール街のランダムウォーカー』の作者として有名である。この書籍は、インデックス投資の有用性を理解するうえで、多くの関係者から推奨されている。

 今日、投資関係の動画をいくつか見ていたら、マルキール氏が3月のフィナンシャル・タイムズに寄稿しているという内容があった。元記事を読みたいのでネットに落ちていないか確認してみたら拾えたので、今日も「頭の体操」として紹介しておきたい。

(英文には著作権があるようなので、拙訳のみ記載する)

インデックス投資(パッシブ運用)は再度勝つ

Passive investing wins again

S&Pグローバル・レーティングは毎年、アクティブ運用されているすべての投資ファンドを様々な株価指数と比較するレポートを発行しています。これらのレポートは、アクティブ運用ファンドとインデックス運用ファンドのパフォーマンスを評価するための基準(ゴールドスタンダード)とみなされています。

今月(2025年3月)に発表された2024年末レポートの結論は、驚くべき結果はではありませんでした。2024年、米国のパッシブ(インデックス)ファンドは、アクティブ運用ファンドの約3分の2をアウトパフォームしました。これは過去の結果と一致しており、特定の年にアウトパフォームした3分の1のマネージャーについても、翌年に良い成績を収めるマネージャーとは同じではないことも示されています。

過去20年間の運用結果を見ると、アクティブファンドの約90%が、低コストのインデックスファンドやインデックス型上場投資信託(ETF)よりも低いリターンを生み出しています。先進国、新興国市場、債券に特化したファンドでも、同等の長期運用成績が記録されています。2024年に好成績を収めた小型株ファンドでさえ、過去20年間でアウトパフォームしたのはわずか11%でした。

市場(インデックス投資の成績)を上回ることは不可能ではありませんが、もしアクティブ運用に挑戦すれば、あなたはマネージャーの下位90%のリターンを達成する可能性が高くなります。インデックスファンド投資は一般投資家にとって最適な戦略であるという証拠は、年々強まっています

こうした証拠があるにもかかわらず、多くのアクティブ・マネージャーは、将来的にはこれが異なるだろうと主張しています。よくある見解の一つは、パッシブ投資の人気が人気の指数において不健全な銘柄集中を生み出し、インデックス投資のリスクが高まっているというものです。一部のアクティブ・マネージャーが主張するもう一つの論点は、インデックス投資家が企業の収益や成長機会を無視して市場に資金を投入しているというものです。これにより市場がファンダメンタルズ情報を反映する能力を損ない、誤った価格設定を生み出してしまい、その結果、アクティブ・マネージャーは将来、そのスキルを活かしてインデックス投資をアウトパフォームする可能性がある、という考えである。

確かに、市場の集中度は高いと言えるでしょう。「マグニフィセント7」として知られるいくつかのテクノロジー銘柄は、S&P500指数の3分の1を占めていて、2024年には市場全体の25%のトータルリターンの半分以上を占めています。しかし、このような集中は珍しいことではありません

1800年代初頭には、銀行株が株式市場全体の約4分の3を占めていました。1900年代初頭には鉄道株が市場全体の大半を占めており、1900年代後半にはインターネット関連株が指数の大部分を占めていました。そして、市場の上昇の大部分を少数の銘柄が担うことは、決して珍しいことではありません。ヘンドリック・ベッセンビンダー氏の調査によると、1926年以降、米国株式市場における国債に対する超過収益のほぼすべてを、上場米国株のわずか4%が占めています。市場の集中化は、インデックスファンドを放棄する理由にはなりません。市場のすべての銘柄を保有することで、市場の上昇の大部分を担う少数の銘柄を確実に保有することができます

インデックス投資に対して「今回は違う」とする二つ目の論点は、インデックスファンドの急速な成長により、市場が株価を正確に評価して新たな情報を正確に反映する能力が損なわれているというものです。パッシブ・インデックス投資の拡大が、現在のAI関連株ブームのような株式市場バブルを生み出したという指摘もあります。ファンダメンタル情報を無視した投資が増えれば、アクティブ運用マネージャーは将来、インデックスをより容易にアウトパフォームできるようになるというものです。

こうした主張を否定する、論理的かつ経験的な理由があります。たとえ投資家の99%がインデックスファンドを購入したとしても、残りの1%の投資が、新たな情報が株価に反映されるには十分過ぎるほどだということです。

市場のバブルによってアクティブ・マネージャーが市場を上回るパフォーマンスを発揮できると考えるなら、2000年まで続いたインターネット株ブームのデータを考えてみてください。多くのインターネット関連株は3桁のPERで取引され、今日の人気AI関連株の現在の評価をはるかに上回っていました。SPIVA(S&P Indices Versus Active)のデータによると、2001年、2002年、2003年の「バブル後」の3年間で、アクティブ・マネージャーの65%、68%、75%が、市場平均を下回るパフォーマンスを記録しました

この証拠は、時とともにますます説得力を増しています。あらゆる投資ポートフォリオの中核は、インデックス投資と、複数の資産クラスへの分散投資であるべきです。インデックス投資は確実に手数料と取引コストを低下させ、節税効果も期待できます。インデックスファンドは退屈な投資であると同時に、金融ニュースに特徴的な楽観論や悲観論の波の影響を受け難いという、最大のメリットの一つと言えるかもしれません。映画『不思議の国のアリス』に登場する白ウサギが私たちに教えてくれるように、「ただ何かをするのではなく、そこに立っていなさい(Don’t just do something, stand there)」ということなのです。

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