■米国株の下落について
4月に入り、トランプ関税ショックで株価は大きく下落した(関税が3か月猶予されたことにより、最近は少し安定してきたが)。ネット上では「新NISA損切り民」などのワードが散見され、本当に市場から離脱している人もいるという。
流れをなんとなく把握してみると、「2024年度までの株式上昇の話を小耳に挟む」→「2025年の年初に新NISA一括投資で投資デビュー」→「大幅下落」→「含み損状態が怖くなって手放す」ということのようである。中には、さらにレバレッジを掛けた商品に手を出し、マイナス30%や40%にもなって手放す人までいるという。
図1 S&P500年初来チャート(ドル建て)

(図はSBI証券ウェブサイトより。以下同)
S&P500は、2月後半くらいからダラダラと下落していき、そして4月には関税ショックで大下落している。私もS&P500の投資信託を600万円くらい持っているため、上記の下落の影響を受けている(しかも上図はドル建てであり、円建てである私の口座は更なる下落である)。大下落分はだいぶ回復してきたが、年初と比較するとまだ大きなマイナスである。
私の場合、昨年度までの「含み益バリア」があるため現時点でマイナスにはなっていないが、もし「投資完全素人」の状態で年始一括をしていたら、怖くて退散していたかもしれない。もちろん、こんな状況でも退散などせず、市場に居続けるだけであるが。
なお、市場が弱気だからといって、すべてが下落している訳ではない。
■ETFの現状
先日の記事で、私が3つのETF(HDV(高配当系)、VIG(増配系)、VDC(生活必需品系))を持っていることを紹介したが、例えばVDCの場合、すでに回復済みである。さすがに大下落の影響は受けた時期もあるが、すでに下落前の価格になり、年初と比較してもなかなかのプラスである。
図2 バンガード 米国生活必需品セクターETF(VDC)年初来チャート

VDCは、その名の通り「生活必需品」に関連する企業を中心に構成されたETFである。ざっくり言うと、「下がりにくくて上がりにくい」ETFと言っても過言ではないと思う。
例えばリーマンショックのような不景気になった場合、「新しいスマホを買うのをやめよう」「車はしばらく古いまま」のように考えが変わるであろうが、不景気になったからと言って、「トイレットペーパーの使う長さを変えよう」とか「洗濯する回数を減らそう」とはならない。つまり生活必需品は、景気や株価の影響を受け難いのである。

なお高配当系であるHDVも、まだ完全回復はしていないが、年初と比較すると若干はプラスになっている。
図3 iシェアーズコア 米国高配当株ETF(HDV)年初来チャート

高配当系のETFは、そもそもダウ平均の下落の影響を受け難いとされている。チャートを見てみても、やはりそれが言えていると思える(S&P500のチャートと比較してみてください)。
そもそも論として、私にとってこれらのETFは、値が下がってもあまり関係ないのである。もちろん、上がった方が嬉しいが、これらのETFはキャッシュフロー改善が目的で買ったものであり、つまり分配金が入ってくればいいのである。分配金の年率は、VDCが2.39%、HDVが3.58%であるため、仮に双方合わせて1,000万投資をすれば、年間で約30万円が入ってくるのである。
ちなみに、残り1つのETFであるVIGは、まだ年初の額に回復していない。
図4 バンガード 米国増配株式ETF(VIG)年初来チャート

しかし、もしこの先S&P500が大回復して上昇した場合、それに付いて行けるのは、この3つの中ではVIGが一番手だと思っている(VDCなどは、仮にS&P500が大爆発しても、「我が道を行く」でそれほど増えないであろう)。よって、焦ることなく持ち続けるだけである。
ちなみに、VIGの分配金は1.88%しかない。その代わり、今後の増配を期待するETFである。
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