駅のない終着駅へ Part2

鉄旅(国内) ※観光列車も
加津佐駅

■はじめに
 鉄道が廃止されたことにより「ご無沙汰」となった終着駅に訪問するこのシリーズ、久々の2回目である。今回は、島原鉄道の加津佐駅を訪問したい。
 島原鉄道の島原鉄道線は、JRと接続する諫早から加津佐まで運行されていたが、2008年4月に、島原港(当時の島原外港)から加津佐までが廃止となってしまっている。
 私が加津佐まで乗車したのは、廃止直前の2008年1月であった。しかしこれは偶然で、島原鉄道の乗車が主目的ではなく、2008年3月に廃止となる寝台特急「あかつき」(京都-長崎)に乗るための旅行であった。往復とも「あかつき」の切符が取れたため、昼間の暇つぶしとして島原鉄道に乗車したのであった。
 今回、長崎までの往復は飛行機であるが、格安切符を押さえているため、片道たったの8,070円である。格安セールは時折設定されることがあるが、日曜の朝や土曜の夕方以降の便は瞬殺である。しかし、幸いにもこの4月から無職となったため、平日の航空券が取り放題である。

■2025.4.7
 7時台の便に搭乗するため、最寄駅から始発の電車に乗り込んだ。これまで何回も利用してきたが、いつもと違うのは、座席がほとんど空いていないという点であった(優先席に、なんとか空きを発見)。平日は、こんな早くから皆さん仕事なのかと思うと、大変そうである。
 空港に着き、久々のラウンジへ(搭乗自体が久々なので)。無職旅行という立場であるため、朝からビールである。

@いただきます

 定刻から少し遅れて出発し、長崎空港には9時15分頃に到着した。バスの出発時刻までしばしカードラウンジで休み、10時10分発の諫早駅行のバスに乗り込んだ。
 そのままバスに乗り続けるよりも、大村駅でJRに乗り換えた方が安い+早いため、大村駅前で降りた。バスが少し遅れ、そして駅前バス停が意外に駅から遠く、さらに大村駅の2番線乗り場が改札口から遠かったため、しばしランニングである。出発の30秒前に、なんとか乗り込むことができた。

@長崎行

 10時27分に大村を出発し、11分ほどで諫早に到着した。新幹線開業に合わせて新しい駅舎になっており、新しさ満載である。
 島原鉄道の窓口に降りて行き、券売機でフリー切符を購入した。これから使うのは、鉄道以外にバスやフェリーにも2日間乗り放題で、4,000円の切符である。

@明日まで使い倒す

 10時48分発の島原港行はすでに入線していて、1両の車内には25人くらいの乗客がいた。平日の昼間だと閑散としていることが多いので、乗客が多いのは喜ばしいことである。

@これに乗る

 定刻に諫早を出発。しばらくは市街地を走り続けるが、島原が近づくにつれて海が見える区間が多くなっていった。

@天気も良い

 12時ちょうど、島原に到着した。この列車は島原港まで行くが、今日は急ぐ旅ではないため、ここでいったん下車してしばし観光である。
 島原観光自体は以前に行ったことがあるため、今日は散策中心である。まずは「鯉の泳ぐまち」などを再訪した。
 しかし私個人としては、有名観光地よりも、寂れた商店街などを訪問する方が好きなので、そちらに足を向けてみた。

@寂しい

 昼時なので小腹は空いている。ブログ的にはおしゃれなカフェなどの方が映えるのであろうが(実際にそういうカフェもいくつか見掛けたが)、個人的には興味がない。そこで商店街を歩いていると、揚げたての練り物が売っていたので、そちらを頂くことにした。映えないことこの上ないが、私的にはこのようなものの方が「旅行している感じ」がするのである。

@美味しく頂きました

 その後は、桜が咲く城付近や、武家屋敷を歩いて見て回った。
 さて、ここからは廃線代替のバスに乗ることとなる(鉄道は島原港まで残っているが、バスは島原が始発である)。
 13時35分発の加津佐海水浴場前行のバスには、大量の高校生が乗り込んで、立つ人もたくさんいるくらいであった。廃線後のバスなどは閑散としていることが多いので、喜ばしいことである。

@大型バス

 島原港を経由し、大きな病院も経由し、そこから先が廃線区間である。
 廃線部分はサイクリングロードとして整備されているが、部分的にしか完成しておらず、まだまだ工事中の区間が多い。
 路盤跡は道路と高さの差がないため撮影しにくいが、高架ならば余裕で撮影である。

@あれも廃線跡

 その後もバスは走り続け、超満員であった高校生も少しずつ少なくなっていった。
 バス路線は小回りが利くため、時折国道から逸れていく。その関係で、線路跡を跨ぐこともあった。絶好の撮影タイムである。

@北有馬駅(駅舎が残っている)

 その後も、あちらこちらで廃線跡の路盤(サイクリングロードになっていたり、工事中であったり、放置中であったり)を見ながらバスは走り続けた。
 定刻から10分遅れた15時10分(乗客が多かったため料金支払いに時間を要したのであろう)、終点の加津佐海水浴場前に到着した。最後まで車内に残っていたのは、私を含めて3人程度である(私以外は、途中から乗った可能性もある)。
 すぐ前が加津佐駅跡であるが、駅舎も取り壊されていて、土台しか残っていない。

@駅跡

 現役時代は1面のホームと引き込み線があった駅であったが、駅舎だけでなく、レールもすべて撤去されてしまっていた。寂しいことこの上ない。

@2008年の様子

@それが…現在の様子

 駅舎も何も残っていないため、廃線跡をしばし歩いて戻ることにした。この付近はもうサイクリングロードが整備されていて、歩ける状態である。海のすぐ横を走るため景色は良かったであろうが、収支などを考えると廃線も仕方がなかったのであろう。

@ここは廃線跡

 今日は小浜の温泉宿を押さえてある。小浜方面に行くバスまで時間があったため、島原方面に戻るバスに乗って「サンピア前」で降りて夜用食材を買い、小浜行に乗って終着で降りて、宿にチェックインした。
 今日の宿には蒸釜があるため、そこにスーパーで買った食材(地場の魚や野菜)を入れて自炊である。

@これで蒸す

■2025.4.8
 終着駅跡訪問は昨日終えているため、今日はフリー切符を最大限に活用するだけの旅である。
 まずは7時48分発のバス(10分ほど遅れてきた)に乗り、口之津港で下車した。ここから、島鉄フェリーに乗って対岸の熊本県に渡るためである。このフェリーは乗船したことがあるが、今から26年も前、バイクツーリングの時であった。

@到着時に撮影

 9時00分に、口之津を出港。この辺りはイルカウォッチングの名所であるため、もしかしたらと思って水面に注目してみたが、残念ながら見ることはできなかった。
 悔しいので、2010年にこの周辺でイルカウォッチングをした際の写真を1枚添えておきたい。

@さすがにフェリーからは見えなかった


 9時28分、対岸の鬼池に到着した。しばし天草観光である。
 と言っても歩ける範囲では限界がある。15分ほど歩いたところに直売所があり、総菜も売っていたので、おにぎり弁当を頂くことにした。

@現地のお米

 お米は天草産の「煌(きらめき)の里」ということで、卵焼きの後ろにはアオサの天ぷらもあり、地元感満載であった。
 熊本県滞在は1時間程度で終わり、10時45分発のフェリーで口之津に戻った。
 さて、続いてはバスで島原に戻るだけである。11時32分発のバスに乗り、またしても廃線跡観察である。
 路盤跡の上を走行する跨線橋もまだ残っており、そこからは撮影がしやすかった。

@廃線跡(サイクリングロード)と普賢岳

 終点である島原までは行かず、島原港で下車した。「現時点での終着駅」を見ておくためである。
 久々の島原港(ここから船に乗って対岸に行ったこともある)を探索してから、歩いて島原港駅に向かった。本来は途中駅であった部分を無理やり切り離した感じであり、路盤は放置されたままである。

@以前はこの先も走っていた

 これからは、雲仙に行く予定である。島原港からでもバスに乗れるが、時間もあるので、いったん島原へ戻ることにした。もちろん、鉄道利用である。
 4人ほどの乗客を乗せて、13時04分に島原港を出発した。10分で島原に到着したが、ホーム上には30人くらい並んでいて、これも喜ばしい混雑具合である。

@ローカル線の収支を考えると

 駅付近を散策してから、13時40分発の雲仙行バスに乗り込んだ。今日の乗客は数人だけである。
 島原港を経由し、その後はぐんぐんと山道を登り続けて行った。14時28分、雲仙着。
 以前は遊歩道がたくさんあった記憶があるが、かなり閉鎖されてしまっていた。小一時間いる予定であったが、予定を切り上げて、14時50分の諫早行に乗り込んでしまった。
 終着までは乗らず、諫早公園前で下車。ここから、歩いて観光しながら駅に向かうこととした。

@眼鏡橋

 歩いて諫早駅に向かい、17時00分発の列車に乗り、今日は大村ではなくて諏訪で降りて、歩いて長崎空港へ向かった(時間に余裕があるため)。
 もう何度目か忘れたが、空港に向かう大きな橋を歩き続ける。上空では、自衛隊のヘリコプターが延々と発着訓練をしていた。

@夕日の時間帯

 後は、20時30分の便で帰るだけである。私は朝派なので、夜遅くに帰るのは厳しいが、今はもう無職であるため、夜中に帰って翌日に影響しても全く問題ないのである。

 さて、旅行記とは関係ないが、「はじめに」のところで、2008年の旅の主目的が寝台特急「あかつき」であったことを記載してある。私の旅行記を見る方は鉄道自体に興味があると思われるため、数葉だけ紹介しておきたい。

@ホーム上の行き先案内

@行先標(往路)

@最後尾

@機関車連結(鳥栖での作業?)

@行先標(復路)

@テールマーク

【過去のシリーズ】

駅のない終着駅へ Part1 (三段峡駅)

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