■はじめに
鉄道がないためご無沙汰になりがちな町へ行くこのシリーズであるが、今回は静岡県の御前崎市と牧之原市である。私は早期退職前にエネルギー関係の仕事をしていたため、原子力発電所がある御前崎市には行ったことがあるが、個人旅行として訪問した経験はない。仕事ついでに御前崎(岬の地名)などは訪問したことがあるが、実質は初旅行である。
この両市の場合、御前崎の部分が飛び出していて主要街道が通らないため、必然的に鉄道も通らなかったわけである。ただし、過去の歴史において鉄道がずっと不在であった訳ではない。1970年に全線が廃止となってしまったが、この地域には静岡鉄道駿遠線が走っていたのである。遺構はほとんど残っていないが、今回の旅でそれを訪問してみようと思う。
【過去のシリーズ】
鉄道のない街へ Part1(宮城県登米市編)
■2025.11.25
JRの各駅停車で静岡に行くのは面白くないし、静岡から先もバスで行くしかないため、静岡までの移動も高速バスで行くことにした。
JRで東京まで移動して、予約していた高速バスに乗り込んだ。

@高速バスで移動(足柄SAにて)
静岡駅まで行くバスは少ないため、静岡インターで下車した。しかし、牧之原まで行く路線バスもインター近くを通るため、却ってこの方が安く済むのである。
待合室で時間調整をしてから、近くにある静岡インター入口バス停に向かった。ここから乗るのが、相良営業所行の特急バスである。

@特急バス
10時23分、当該バス停を出発した。先ほど高速道路から降りたばかりであるが、この特急バスは、再度高速に乗っていく。「もう少し先のインターまでJRバスに乗る手もあったな」と思ったが、後の祭りである。
吉田インターで高速を降りて、一般道を走って行く。しばらくすると左手に海と自転車道が見えてくるが、この自転車道(静岡御前崎自転車道線)は駿遠線の廃線跡である。

@廃線跡
乗車時点から乗客は4人くらいしかいなかったが、徐々に減り、私が最後の1人となって、11時21分に到着した相良本通で下車した。
そこから少し歩いて向かったのが、小堤山トンネルである。これは、駿遠線最大の遺構であると言える。

@元は鉄道トンネル
トンネルの入口には、駿遠線の歴史に関する説明があり、当時の写真が紹介されていた。先週に三重県で乗ったナローゲージ(軽便鉄道)と同様のレール幅であり、開業当時は日本で最も営業距離が長いナローゲージであった。

@紹介盤その1
トンネルの反対側の出口には、小堤山トンネルに関する説明が貼ってあった。説明書きにある通り補修工事が行われたということで、トンネル内はかなり綺麗であった。

@紹介盤その2
この後は牧之原市史料館にでも行こうと思っていたが、調べたら火曜日が休館日であった。事前に調べた限りでは鉄道ネタは無いはずであるが、それでも少しく残念である。
仕方ないので、近くにあった小堤山の展望台に行ったり、スーパーに行って夜用食材を確保したりして時間を潰した。
続いて乗るのが、牧之原市と御前崎市の共同自主運行バスである。

@御前崎海洋センター行
自主運行バスであるが、静岡鉄道が運行を担っているため、共通ICカードが利用できた。
12時17分に、相良本通を出発した。これからは終点まで行って御前崎灯台などに行こうと思っていたが、今日は残念な曇天である。御前崎灯台付近は昔に行ったことがあるし、この天気で海を見ても仕様がないため、予定を急遽変更して廃線跡を更に追うことにした。
地頭方辻バス停で降りてしばし歩き、小学校を過ぎた辺りにあるのが地頭方駅跡である。

@駅跡
昔の駅名標を復刻したようなものがあり、また駿遠線に関する大きな説明版もあった。駅前には不自然に広い空き地があり、「ここが駅前広場であったのかしら」と想像させるようなものであった。

@もしかして駅前広場?
ここからは、廃線跡散策を開始することになる。3日前に碓氷峠の廃線跡を歩き、2日前に長倉線の未成線跡を歩いたばかりであるので、「またか」という感じでもあるが。
しばらくして、橋脚が現れてきた。橋脚自体は作り直されたものであるが、土台の部分は昔のままであろう。

@降りてみて撮影
その後も、廃線跡ハイキングである。この辺りは「いかにも路盤跡」という感じで、廃線跡が残っている(この先、御前崎の中心部に近づいて行くにつれて、鉄道の残り香は無くなっていく)。

@残り香がある部分
御前崎の中心部に向かうにつれて廃線跡は一般の道路に飲み込まれてしまい、「ただ単に道路を歩いている」状態になってしまった。
しばらくして行き当たるのが、玄保駅跡である。周囲に鉄道の遺構は無いが、説明版などが作られている。

@玄保駅跡
その後も歩き続けて、御前崎市の中心部に入って行った。御前崎(灯台など)を省略したため、この時点でまだ14時過ぎである。よって、翌日に行こうと思っていた浜岡原子力館に向かうことにした。雨も降ってきたので、屋内で見学できるものは今日でも構わないであろう。

@原子力館
先述した通り私はエネルギー関係で働いていたため、展示内容の理解はお手の物である。原子力発電所の模型などもあったが、本物の中に入ったことがある身としては懐かしい感じであった。
見学を終えてからは、最上階にある展望スペースに行って発電所を眺めたりした(核物質防護の観点から、そこからの撮影は不可)。

@こちらの写真で代替
見学を終えてからは、近場にあるホテルにチェックインした。荷物を整理して、近場のスーパーに行って食材を買い揃えた。
夕食であるが、牧之原市内で買っておいた刺身2種類(御前崎産のイサキと金目鯛)と、追加で買った刺身と黒はんぺんなどである。

@静岡シリーズ(ビールも静岡で)
■2025.11.26
今日も廃線跡散策ができるかどうか検討したが、御前崎の中心部にはほとんど遺構が無く、かなり西まで行かないとならないため、今日は普通の観光をするのみである。
まずは、池宮神社へ行くことにしている。発電所方面に歩いて国道から曲がると、すでに大きな鳥居が待ち構えていた。発電所が近いということもあるので、背後にある送電線と一緒に撮影である。

@大きな鳥居
鳥居のところから更に15分ほど歩いて、やっと池宮神社に到着した。まだ朝ということもあり、人もいなくて長閑である。ここの神社は、ご神体が池(櫻ヶ池)であるということで、美しい池の写真などをあれこれと撮影した。

@池宮神社色々
続いては、海際にある観光要素に向かうことにしている。
元来た道を戻り、鳥居の直前で右折した。廃線跡がほとんど残っていない市内中心部であるが、ここは数少ない「廃線跡っぽい感じが残っている部分」である。

@廃線跡です
なお、廃線関係の紹介はこれが限度である。鉄道の面影が全く出てこないのも寂しいため、昨年度に訪問した藤枝の郷土資料館にある静岡鉄道駿遠線のSLを紹介しておきたい。

@これが走っていた
宿泊していたホテルの横を過ぎて海岸の近くまで歩き、見えてきたのが東京第一陸軍造兵廠遠江射場観的所跡(トーチカ)である。かなり古いため中に入ることはできないが(安全のため)、戦前の構造物がよく残っているものである。

@トーチカ
せっかく海際まで来ているので、海岸まで出てみた。左を見れば浜岡原子力発電所、右を見れば風力発電機である。曇天であった昨日とは大違いで、今日は雲一つない良い天気であった。

@浜岡砂丘色々
その後は、長閑な道を西へ西へと歩いて行った。目的は道の駅であるが、特にこれと言って買いたいものもなく、見ただけで終わってしまった。

@御前崎キャラを発見したのみ
市内中心部まで歩いて戻り、11時00分発の菊川駅行のバスに乗り込んだ。復路については、路線バスで菊川インターまで行き、そこから高速バスで戻ることにしている。

@路線バス
11時38分、東名菊川バス停で下車した。高速バスの出発まで1時間以上あるため、近場にあるスーパーなどを適当に訪問した。1時間後のバスでも間に合うのであるが、もし路線バスが遅れると面倒なことになるため、このような旅程にしたのである。
散策を終えてから高速バスの乗り場に向かい、1日に3本しかない東京行のバスに乗り込んで、鉄道がない町の旅は終了である。

@最後もバスで



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