■はじめに
実りの秋、である。穀類だけでなく、海産物なども旬になる時期でもある。ということで、今回は地域が異なる3つの観光列車に乗って来ることにした。
まずは、三陸鉄道の「秋のあわび・まつたけ列車」である。三陸鉄道については、このシリーズの28回目に「プレミアムランチ列車」に乗っているが、それと同じ系統である。盛駅発(あわび弁当・あなご弁当・濱焼売弁当)と釜石駅発(まつたけ御膳・大槌サーモン弁当)があり、それぞれ料金が異なるが、盛駅発のあわび弁当(6,600円)を予約しておいた。弁当以外にデザートとして「さんりく星苺のパルフェ」が付いており、絵馬用のホタテ貝がもらえる。
2つ目は、東武鉄道の「COEDOビール列車」である。クラフトビール4杯とおつまみセットだけで10,000円は高そうに感じるが、お土産用のビール2本と、目的地である武蔵嵐山駅で行われているイベントで使用できる飲食用チケット1,800円分が付いてくるため、実質のツアー代は7,000円くらいであろうか。
3つ目は、ひたちなか海浜鉄道の「那珂湊のおさかな列車」である。日本旅行の企画であり、特製弁当に海鮮バーベキュー、貸切バスでの海浜公園等へのツアーが付いて、12,000円也。
■2025.10.10
三陸は遠いが、「秋の乗り放題パス」を使って、初日は塩釜までの移動(仙台付近のホテルは高いため)、2日目に観光列車に乗って北上に宿泊し、3日目に帰って来る日程とした。
今日は、ひたすら移動である。東北本線は乗り換えが多くなるため敬遠し、常磐線経由である。中でも、水戸発10時05分の列車は乗り換えなしで原ノ町まで行けるため、その列車を軸にした旅程を作成した。

@これで一気に原ノ町まで
17時前に塩釜の安ホテルに到着し、この日は終了である。
■2025.10.11
5時半前にホテルを出て、塩釜神社を参拝してからJR塩釜駅に向かい、6時16分発の小牛田行に乗り込んだ。小牛田で女川行に乗り換え、途中の前谷地で気仙沼線に乗り換えた。つい先週、別の旅行で来たばかりであるから、変な感じである。
柳津には7時56分に到着し、ここからはBRTでの移動となる。

@震災前は鉄道でした
8時01分、意外に多い乗客(15人くらい)で、柳津を出発した。本来はBRT専用の道路(元は鉄道であった場所)を走るが、整備工事中であるため、一般の道路を多く走って行った。
BRTの道路に戻ったり一般道に移ったりを繰り返して、9時49分に気仙沼に到着した。

@気仙沼駅
しばし待ち合わせて、続いて乗車するのは盛行のBRTである。10時01分に出発して、終着の盛には11時18分に到着した。
三陸鉄道の窓口に行き、申し込みをしている旨を伝えて切符を受け取り、臨時列車が待ち構えているホームに向かった。

@秋のあわび・まつたけ列車
車内には、アテンダントの女性係員2人が待ち構えていた。とりあえず指定された席に向かったが、団体さんが来る気配もなく、定刻の11時30分、なんと私1人だけで出発してしまった。「車両内に私1人だけ」というのは、過去にも「北信濃ワインバレー列車」や「おれんじ食堂」でもあったが、前者は他の車両には一般客がたくさんいたし、後者は2両編成で別の車両には2人組がいた。今日は、正真正銘私だけのために、運転手1人と係員2名が専属である。

@他に誰もいない
あわび弁当が配膳されたので、早速それを頂くことにした。あわびのスライスが中央にあり、周囲にはイクラやメカブが添えられている。

@あわび弁当
アルコールが必須の面子であるため、車内販売で「三鉄プレミアムラガー」を注文したが、残念ながら品切れということで、普通のビールになってしまった。
(横に添えられているのは、絵馬用のホタテ貝である)

@残念
車内には2名の女性アテンダントがいるが、1名は前回このプレミアムランチ列車に乗った際に「ハイカラガイド」を担当されていた方である。そしてもう一方は、フランス出身で震災後に三陸に移住されたということで、その方がメインとなって日本語であれこれと地域の観光案内をされていた。
恋し浜に到着し、ここで5分ほど停車する。まずは、ホタテ貝に願い事を書いて紐に掛けておく。

@願い事
この駅で降りたことは以前にあるのだが、フランス人の方が「見てほしいものがある」ということで案内されたのが、駅から遠くの山肌にあるハートマークである。これについては、私もその存在を知らなかった。

@意外な盲点
同駅出発後も、観光アナウンスはずっと続いて行った(私1人だけのためのアナウンスであるため、申し訳ない感じである)。
三陸で停車して、ここでデザートが持ち込まれた(アイスも使用されているため、直前に仕上げているのであろう)。

@美味しくいただく
その後も沿線の観光案内を聞きつつ、定刻の12時30分に釜石に到着して、この日の観光列車は終了である。今日は残念な曇天であったが、目的は弁当であったため、特に問題はない。

@こんな天気
待ち合わせ時間は適当に釜石市内を散策し、14時19分発の快速列車に乗って花巻で降り、この日は北上まで移動して安ホテルに投宿した。
■2025.10.25
最寄駅からJRと地下鉄を乗り継いで、池袋までやって来た。受付は10時からということなので、追加の安ツマミを買ったりしてから指定された場所へ向かった。
受付では、座席などが書いてある説明書やビールとの交換券など、一式が手渡された。

@一式(左手首にあるオレンジの紙は参加証代わり)
今日使用する車両は普通の通勤用車両であるため、当然トイレはない。ということで、トイレに行って用を済ませた。
指定された時間に受付付近に戻り、案内通りに移動していった(頻繁に他の電車が出入りするため、全員一斉に乗る必要がある)。

@行先案内は「下板橋」(その理由は以下に)
10時43分発の定期列車が出発し、しばらくしてビール列車が入線してきた(時刻は確認していないが恐らく10時48分頃)。ビール列車は10時53分に出発するため、急いで乗らないといけない。
指定された号車に入り、自席に向かった。私の席は、通常は優先席と使われている部分である。車両の端であるため、気兼ねがなく過ごせそうである。

@自席
定刻に池袋を出発。しばらくして、下板橋の引込線に入ってそこで停車した(よって「下板橋」行)。乾杯用の小さいビールが配布され(これはクラフトビール4杯分には含まれない)、ビールを提供している会社の社長挨拶があってから、乾杯が行われた。
ビール用のツマミは、ガーリックシュリンプやザワークラウトなどである。

@今日のツマミ
クラフトビールは2種類あり、乾杯でも使われた川越麦酒と茜音(AKANE)がある。川越麦酒は通常のビールに近いため、ペールエールである茜音を1杯目として頼んでみた。

@茜音
いつものビールよりも風味が高く、特異な香りがある。「4杯ともこれでいいかも」と思える感じであった。
下板橋付近を出発し、通勤路線を走り続けた。2杯目と3杯目も茜音にしてみたが、最後の1杯は通常の川越麦酒にしてみた。

@こういうアングルで撮影
私はそれほどトイレが近くならないタイプであるが、折り返しの武蔵嵐山(むさしらんざん)まで1時間半くらいあるため、「近くなりがちな人」は大変そうである。
定刻に、武蔵嵐山に到着した。駅員が幟を持ってお出迎えをしており、ゆるキャラも待ち構えている。

@むさし嵐丸くん
駅前には出店が複数あり、ここで1,800円分のチケットが使える。多くの乗客はトイレに殺到していたため、店が混んでいないうちに、唐揚げやハンバーガー、カレーパンと交換しておいた。
しかし、ここで追加のビールを買って二次会をしたのでは、夕食が入らなくなってしまう。ということで、交換した品々は持ち帰って夕食用にすることにして、散策をすることにした。駅付近はこれといった観光地はないが、適当に歩くと古墳に行き当たった。

@古墳
その後も適当に街中を歩き、ドラッグストアで卵が安かったのでそれを買ったりして時間を潰した。
多くの乗客は、駅前の特設会場で二次会を実施中である。サックスの生演奏も行われており、飲み屋のような雰囲気になっていた。

@会場遠景
それにしても、各売店は大行列である。トイレに行かず最初に直行して、大正解であった。
折り返しの時間となり、ホームに向かって自身の車両に乗り込んだ。

@団体専用
14時07分、定刻に武蔵嵐山を出発した。折り返しの車内では、お土産用のビールが2本配布された。

@お土産
その後、事前にネット投票していたクイズの正解とプレゼント当選者の発表があった。私はクイズ自体はすべて正解していたが、残念ながらプレセントは当たらなかった。
14時40分、川越市に到着して、ツアーは終了である。川越観光に行く人も多いようであるが、私はそのまま東武とJRを乗り継いで家路についた。
この日の夕食は、会場で入手した品々である。

@入手品
■2025.10.26
2日連続しての観光列車であり、今日は茨城県のひたちなか市まで行くこととなる。
最寄駅からJRを乗り継いで、取手までやって来た。それというのは、ときわ路パスを買うためである。取手から勝田までの単純往復でも元が取れてしまうため、少しでも旅費を安くするための途中下車である。

@少しでも安く
各駅停車に乗り、勝田に向かった。
受付まで時間があるため駅から歩いて数分の場所にあるスーパーに行って酒を仕入れてから、駅に戻ってきた。
受付を済ませて、一日乗車券や名札などの一式を受け取った。

@今日の一式
ホームに降りてしばし待ち、入線してきた列車に乗り込んだ。2両編成であり、1両目は通常の定期列車であり、2両目が観光用の貸し切り列車となっている。車内に入ってみると、ロングシートの間に机が設置されていた。

@車内の様子
席札の数からすると、今日の参加者は10人だけのようである。
定刻の10時43分、勝田に出発した。那珂湊までは、普通に走行するだけである。ただし、旅行会社の係員以外にも地元の案内役も複数人乗車しており、沿線に関するアナウンスが続けられていた。

@沿線の様子
10時59分、那珂湊に到着した。ここでいったん下車して、おさかな列車の乗客は1番線ホームへ移動し、1両目の定期列車に乗っていた人たちはホームで待機していた別の車両に移動した。
それまで乗っていた2両編成はいったん東へ移動して、そして1番線に入線してきた(これから勝田方面に移動するため)。ホームでは、弁当や海鮮が最後の準備中である。

@最終段階
なお鉄的な方にとっては、目前で係留されている旧JRの車両たち(最近来たばかりの車両と、すでに運行されていない車両)の方が気になるであろう。新しい方は、前回見たときは装飾がなかったが、すでに「ほしいも柄」になっていた。

@元はJR
列車が入線してドアが開いたので、弁当一式を頂いて車内に戻った。
メインの弁当は、海鮮尽くしである。大きな金目鯛の煮付け以外にも、目光や鯖もあり、揚げ物などもある。メニューがあるが、それによると、漬物や天ぷらの野菜もすべて地物で揃えられているということであった。

@弁当
ホーム上で最終準備がされていた海鮮串であるが、今日はつぶ貝、くろ貝、イカ、タコということであった。

@串もある
那珂湊の出発は11時31分であるが、それを待たずに弁当を食べ始めた。もちろん、勝田で買った酒(缶チューハイ)がお供である。金目鯛などは食べ応えがあるため、ちまちま食べながらたくさん呑みたいところであるが、酔い過ぎるとその後の観光が面倒になってしまうため、今日は小さなチューハイ2本だけである。
そして弁当を食べ終えると、デザートは茨城産のメロンである。

@デザートまである
11時46分、勝田に戻ってきた。再度出発するまで15分以上あるため、トイレに直行である。
席に戻ってくると、お土産一式(カステラなど)が机上に配布されていた。

@お土産
12時01分、勝田を再度出発した。再び那珂湊を過ぎて、終着駅である阿字ヶ浦には12時29分に到着した。
ひたちなか海浜公園まで行くバスが来るまでは、駅にある鉄道神社や、歩いて数分の場所にある「ほしいも神社」の参拝である。

@ほしいも神社
駅に戻ってしばらくすると、バスがやって来た。ぱっと見は普通の路線バスであるが、このバスが、ひたちなか海浜公園まで連れて行ってくれる。

@貸切
駅を出発し、10分程度で公園に到着した。
阿字ヶ浦には何度か来ているが、この辺で一番有名なこの公園に来るのは初めてである。ちょうど今はコキアの紅葉の最盛期であり、見学するには最適な時期である(入園料もツアー代に含まれている)。
園内は、インバウンド客も含めて大賑わいであった。

@コキア
今日は残念な曇天であるが、一昨日くらいまでの天気予報では大雨であったため、雨が降っていないだけで御の字である。
コキア以外にも、コスモス等の各種の花が満開であり、良い季節の訪問となった。

@お花色々
その後は広大な園内を散策して、指定された時間に戻り、貸切バスで阿字ヶ浦駅まで戻ってきた。
ここで、実質解散である。阿字ヶ浦でもっとゆっくりしてもいいし、那珂湊で下車して買い物をしても良い。私は、勝田まで直行して帰ってしまう予定である。
しかし、列車が来るまで30分弱もある。そこで適当に歩いて行くと、今日もまた古墳を発見してしまった。

@2日連続で古墳
それを写真に収めて、後は帰るだけである。勝田へ移動し、JREバンク特典のグリーン券が余っているため、勝田から取手まではグリーン車での移動である。



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