プチ移住第9回・高知県高知市編(1日目~4日目)

プチ移住
50系客車

■はじめに
 今回のプチ移住(10日間程度の短期滞在型旅行)は、高知県の高知市である。このシリーズは1か月に1回程度実施しているが、前回の鹿児島市編は先週終わったばかりである。しかし、年末の観光地はどこも高額であり、旅行する気になれない。そこであれこれと調べて、「31日に戻ってくれば飛行機も安い」ということに辿り着いた。ホテルも、都市部であればそれほど高額ではない。そこで、高知市でのプチ移住という結論に至った。ホテルはいつもより少し短い7泊で40,500円であり(クーポンとポイントを使って30,600円)、飛行機も往復のJAL便を19,050円で押さえることができた。
 1日目は移動日+佐川への観光、2日目は市電を使っての市内観光、3日目はバス一日券を使っての市内観光、4日目は「ごめん・なはり線」沿線観光である。

■2025.12.24
 いつもは昼頃の便で移動するが、今日は値段優先で朝一の便である。最寄り駅を始発列車で出発して羽田には6時半過ぎに到着し、7時35分発の便に乗り込んだ。
 荷物搭載の関係で、少し遅れて離陸した。高知が近づくと、左手には室戸岬が見えてきた。高知県に滞在するのに今回の旅では室戸岬も足摺岬も行かないが、いずれも有名観光地であるし(私も過去に訪問済みであるため)、紹介は不要であろう。

@上空からの写真のみ

 定刻より20分ほど遅れて、9時25分に到着した。券売機でバスの往復切符を買い、高知市内へ移動した。
 安ホテルに荷物だけ預けて、市内を散策してスーパーの下見などをしてから、JR駅前にある観光案内所で今後に使用する鉄道の一日券を買ったりした。とさでん(路面電車)の一日券(1,000円)と、ごめん・なはり線の一日券(2,200円)である。

@市内をぶらぶら

 今日はこれから佐川(さかわ)へ行くことにしているが、JRの出発は12時06分である。まだ1時間ほど時間があるため、SLが置いてある場所(今年の初夏に高知に来たが、暑過ぎて行くのを諦めた場所)に行くことにした。
 歩くこと20分弱で到着したが、少し放置されている感じであった。

@SL

 駅に戻って切符を買い、12時06分発の須崎行に乗り込んだ。車内は高校生で混んでいたが、進行方向とは反対側の窓側に座ることができた。
 定刻に出発し、佐川には13時07分に到着した。駅舎内は最近整備されたようで、小奇麗になっている。

@初めての途中下車

 ここに来たのは、保存されている「ロ481号客車」を見るためである。しかし、町並みを歩き始めると、古い家が多く、造り酒屋もあり、瀟洒な雰囲気であった。

@佐川色々

 しばし歩いて到着したのが観光協会の建物であり、ここにお目当ての客車が置いてある(無料で入れる)。

@ロ481号客車

 この客車は1906年製で、国内に唯一現存する四輪木造二等客車であるという。1933年に鉄道省から佐川町に寄贈され、その後1968年に国鉄へ譲渡されたのであるが、2021年にJR四国の協力によって佐川町に里帰りして来たものであるという。

@車内色々

 車両を見た後は、隣接する佐川文庫庫舎を見たり、近くにある神社などを参拝したりした。
 駅に戻る途中、トマトの無人販売を発見した。地元の栽培であり、小ぶりではあるが料金も200円と割安である。プチ滞在中は野菜の摂取が少なくなりがちであるため、有難く購入することにした。

@地元野菜

 駅に戻り、14時28分発の列車に乗り込んだ。当初予定では15時42分に高知に戻る予定であったが、旭駅での信号トラブルが原因となり、高知に到着したのは定刻から56分遅れた16時38分であった。余裕のある旅程で良かったと思う。
 スーパーで食材を買い、安ホテルに投宿した。食材であるが、まずは地元の丸アジと沖さわらである。

@地元食材その1

 そして別のスーパーに行ってみると、これまた地元の「赤むろあじ」と「どろめ」(しらす)を見付けてしまい、つい買ってしまった。刺身を買い過ぎてしまったため、卵とトマトは明日以降に持ち越しである。

@地元食材その2

 なお今回のホテルであるが、プチ移住シリーズで初めて「キッチンが無い」ホテルである(年末であり、選択肢が無かったため)。しかし、高知市のような港が近い町では、食材が魚中心になること必須である。魚であれば、レンジ調理器があれば焼き魚は簡単にできるし、刺身は切るだけでよい。よって、今回はレンジ調理器頼りの自炊生活となる。

@レンジ調理器(黒いのは炊飯用)

 刺身を切り、アジを調理器で焼いて頂いたが、一番の当たりはアジであった。こんなに身がフカフカのアジは、初めてであった。

■2025.12.25
 今日は、路面電車の一日券を使っての市内旅行である。長期天気予報では昨日と今日だけが雨模様であるが、市内の観光地は景色中心の旅ではないため、これ幸いである。

@一日券

 ラッシュ時を避けてホテルを出て、8時半頃に堀詰電停を出発した。とさでんの市電は十文字に路線が広がっているが、まずは西側から攻めていくことにする。
 終点の伊野までは行かず、途中の朝倉神社前電停で下車した。目的は、もちろん神社である。
 参拝を終えたが、西端の部分は45分に1本くらいしか電車がない。ということで、咥内電停までぶらぶら歩いてそこから乗車した。

@やって来ました

 トコトコと走り続け、終点の伊野の1つ手前の伊野駅前電停で下車した。歩いてすぐに辿り着くのが、JRの伊野駅である。ここは映画「竜とそばかすの姫」の舞台となっているため、聖地巡礼として訪問する人も多いという。

@駅舎内

 とさでんの伊野駅に移動したが、先述した通り電車は45分くらいに1本しかない。ということで、以前に訪問済みであるが椙本(すぎもと)神社まで歩いて行って参拝をした。
 伊野電停付近には、廃線跡も残っている。これは係留線の跡であり、今は道路の一部となっている。

@廃線跡

 伊野電停から路面電車に乗り、はりまや橋電停で乗り換えて、続いては南側を攻めることとなる。終点の桟橋通五丁目の1つ前の桟橋車庫前で下車して車庫にある車両の写真を撮ってから、歩いて向かったのは「わんぱーくこうち」である。遊びに来たわけではなく、土佐電鉄の古い車両が目的である。

@ボロボロ

 そしてもう一つの目的が、50系客車である。この車両には思い入れがあり、私は親の転勤の関係で小学校6年生から宇都宮市に住んでいたのだが、当時は富士重工の宇都宮工場で国鉄の車両が作られており、出来立ての50系客車が係留線に置いてあったのを見たりしたのである。

@50系客車

 もしかしてと思って銘板を見てみたが、残念ながらここに置いてある50系客車は新潟鐵工所の製造であった。上述した経緯があるため、50系のみならず、キハ183系やキハ40系を見付けるとつい銘板を見てしまい、そして「富士重工宇都宮」とあるとなぜかうれしくなってしまうのである。

@出来立ての頃(1982年撮影)

 入園料は無料であるが、動物園も無料で入れたため、あれこれ動物を見てから公園を後にした。
 桟橋通五丁目電停から路面電車に乗り、はりまや橋で乗り換えて、続いては東方面である。後免町行に乗り込んで、田辺島通電停で下車した。すぐ近くにあるのが、鹿児神社である。

@今日3社目

 参拝後は再度路面電車に乗り、終点の後免町の1つ手前の後免東町電停で下車した。このすぐ近くにあるのが、海洋堂の「SpaceFactoryなんこく」である。海洋堂とはフィギュア制作で有名な企業であり、展示されている品はマニア垂涎必須であろう。

@私はマニアではないですが

 無料で見学できる1階と2階を見て回ってから、海洋堂を後にした。続いて、すぐ近くにあった「やなせたかしロード」を歩いてみた。アンパンマン関連の石造があちらこちらにあるが、いかんせんシャッター商店街であり、開いている店を探すのが大変なくらいである。

@寂しい

 JRの後免駅付近にスーパーがあるのを知っていたので、そこに向かってみた。鮮魚売り場に行くと、「べいけん」という見慣れない魚を見付けた。スマホで調べてみると、味は良いようである。格安ということもあり、買ってみることにした。

@見知らぬ魚

 それ以外にもあれこれ見ていると、高知県大川村の焼肉のたれを見付けてしまった。700円以上ということでタレにしては高めであるが、これは買うしかない。肉については高知産が見つけられなかったので地産とは全く関係ないが、牛肉と一緒に購入である。

@高知のタレ

 後免町電停まで歩き、路面電車に乗ってホテルに戻った。この時点でまだ16時前であるが、今日はもう終了である。
 部屋で魚の下処理をしたが、まだ外は明るい。よく考えたら(考えなくても)今日は25日、つまりクリスマスである。すぐ近くでクリスマスマーケットをやっているということなので、そこを覗いてみることにした。

@マーケット

 それ以外にも高知城などを適当に散策してから部屋に戻り、チキンもケーキもない夕食(地魚や卵や焼き肉)で一献である。

■2025.12.26
 今日は、バスの一日券を使っての観光である(路面電車も使えるが、今日は使用しない)。かなり広範囲に利用できて、1,800円である(紙の切符だと2,000円になってしまう)。

@電子チケット

 昨日は「神社巡り」であったが、今日は「寺院巡り」の予定である。私は15年くらい前に四国お遍路は回り切っているが、いかんせん88も寺院があるため、ほとんど覚えていない。よって、高知市近辺の寺院を再訪しようと思っている。
 まだ薄暗い中ホテルを出て、最初に乗るのは6時53分発の高岡行である。

@やって来た

 西へ西へと走り、7時36分に到着した高岡高校通バス停で下車した。まずは、35番札所である清瀧寺を目指す。最後の方は急坂と長大な階段で大変であったが、お遍路気分で50分ほど歩いて清瀧寺に辿り着いた。薬師観音が印象的であるが、前回来たことを全く思い出せない。

@清瀧寺

 参拝を終えてから、下界へ降りてきた。ここ土佐市は、土讃線が内陸側を走ることもあり、「鉄道がない町」でもある。よって、ここを訪問するのはお遍路で来て以来である。
 市内でドラゴン広場という地場産の品を売るところがあったので、入ってみた。地物の魚や肉があるが、ここで買うわけにもいかない。そこで、レタスがなんと80円で売っていたので、「旅行中の野菜不足」解消に買うことにした。

@安い

 市役所で一休みしてから、土佐市役所前バス停からバスに乗り込んだ。
 高知市内には路面電車が走っているが、通常は路面電車の軌道は道路とは区分されている。しかし、朝倉駅付近の路盤は、道路の片側と完全に被っているのである。よって、路面電車が近づいてくると避けなければならない。

@正面衝突しそう

 ひたすら乗り続けて、市内中心部も過ぎて、国分通バス停で下車した。この区間だけで正規運賃は1,550円であり、朝の分も含めるともうフリー切符の元は取ってしまった。
 バス停名にある通り、ここから15分ほど歩いた場所にあるのが、29番札所である国分寺である。

@国分寺

 この寺についても、前回のことは覚えていない。お遍路は、寺院が続く地域ではどうしてもスタンプラリー的になってしまうため、どうしても覚えていないのである。
 参拝を終えてからは、戻りのバスまで時間があるため道の駅まで30分ほど歩いて行った。地場の品を見ていたら「放し飼い卵」が売っていたので、試しに買ってみた。

@放し飼い

 道の駅を後にして後免分岐バス停まで歩き、12時37分発のバスに乗り込んだ。市内中心部にある境町バス停には、定刻より4分遅れた13時20分に到着した。乗り継ぐべきバスの出発まで2分しかないが、あちらも遅れて来るはずである。予想通り、定刻より7分遅れた13時29分にやって来た。
 その長浜行に乗り換えて、終点から歩いて数分の場所にあるのが、33番札所である雪蹊寺である。

@雪蹊寺

 この寺院については、入口付近だけはなんとなく覚えている。しかし、敷地内に入ってみると、やっぱり覚えてない。
 長浜バス停に戻り、桂浜行に乗り込んだ。14時40分頃に到着したが、前回訪問時には無かったおしゃれな店が乱立している状態であった。
 そんな店には寄らず、目指すのは龍馬像である。しかし、超逆光で断念(綺麗に撮るためには午前中に来るべきであった)。仕方ないので、海の写真で代替である。

@快晴

 15時30分発のバスに乗って市内中心部に戻り、今日は終了である。
 スーパーに行ってみると、高知産の豚肉とチダイが割引になっていたため、それを買って来た。チダイは塩焼きにして、豚肉は昨日買ったタレで頂くことにしよう。

@食材

■2025.12.27
 今日は、土佐くろしお鉄道の「ごめん・なはり線」沿線観光である。2,200円のフリー切符は高知到着日に買っており、後免駅まではJRでの移動となる。JR部分も含まれているフリー切符(2,900円)もあるが、JR区間で下車しないのであれば、JR切符は別途買った方が安い。

@組み合わせ

 高知発8時30分の列車で行く予定であったが、ホテルにいても暇であるため、7時46分発の列車で出発した。
 早く出た分は、のいち駅で途中下車して適当に駅周辺をぶらぶら。その後、8時54分発の列車に乗り込んだ。

@行き違い

 9時02分、夜須で下車した。すぐ近くにサイクリングロードがあるが、これは実は廃線跡である。土佐電気鉄道の安芸線(1974年廃止)の廃線跡であり、現在のごめん・なはり線に使用されている部分もあるが、元は路面電車であったため、カーブの多い部分などは廃線跡として残っているのである。
 しばし歩くと切り通しがあり、トンネルが見えてきた。

@廃線トンネル

 トンネルを抜けた先も廃線跡は続いており、さらに別のトンネルもあったが、キリがないので戻ることにした。
 駅に近付くと、ごめん・なはり線の列車が走ってきた。私が歩いている橋が元路面電車の橋であり、並行している状態である。

@新旧の鉄路

 近くにあった道の駅に寄ってから駅に向かい、10時06分発の列車に乗り込んだ。しばし揺られて、伊尾木で下車した。
 そこからひたすら歩くこと約50分、辿り着いたのが伊尾木森林鉄道の軌道跡である。コンクリートの橋梁はよくあるが、石積みであるのは珍しい。

@石積み

 その後は再度ひたすら歩いて駅方面に戻ったが、列車が来るまで少し時間があったので、近くにあった伊尾木洞へ行ってみた。遊歩道が整備されている洞窟であり、苔生した落ち着いた雰囲気である。奥まで10分ほど歩くと滝があるようであったが、そこまで行くと列車に乗れなくなるため、入口付近の散策に留めた。

@伊尾木洞

 駅に移動して12時40分発の列車に乗り、終点の1つ手前の田野で下車した。駅に隣接して道の駅があったので向かってみると、干し芋と肉厚のピーマンが安かったので買ってみた。干し芋は小分けして今後の散策中につまめばよいし、ピーマンは肉や野菜を焼く際に付け沿いにしようと思う。

@地の物

 駅から25分ほど歩いて辿り着いたのが、旧魚梁瀬森林鉄道施設の立岡二号桟道である。田んぼの中に颯爽と立つ廃線跡は、遺跡のようである。

@これも廃線跡

 その後は、歩いて終着駅である奈半利駅に向かった。列車の出発まで45分以上あったので、15分ほど歩いて向かったのが、同じく旧魚梁瀬森林鉄道施設であった法恩寺跨線橋である。

@いきなり現れる

 廃線跡を写真に収めてから奈半利駅に戻り、15時01分の列車に乗り込んで、高知には16時22分に到着した。
 駅に近いスーパーに向かうと、カツオのタタキがあったので(そう言えば高知に来てまだカツオを食べていなかった)、グレのタタキと一緒に購入した。ご飯のお供は、四万十鶏である。

@食材

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